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リリカルなのはをぐっだぐだにしてやんよ 1話。

頭を駆け巡る鋭い痛みと、自分の身体を触れる何かの感触。
夢か現か幻か、考え様にもぐるぐると思考が安定しない。自分は一体どうなっているんだろうか?

ゆっくりと眼を開く。視界がぼやけて定まらず、ぐらりと揺れる身体を支えてくれている何かに、力なくもたれかかってしまう。

「あ、気が付いたみたい」

女性の声? 耳元で聞こえたという事は、身体を支えてくれているのはこの女性なのだろうか?
背中から肩にかけて自分を支えている腕。左腕を挟む様に当たっている柔らかい何か。一度眼を閉じ、深く息を吐いてゆっくりと吸い込み深呼吸。それを何度か繰り返し、再度眼を開いて辺りを見渡す。先程までぼやけていたはずの視界が晴れて、見えなかった物をしっかりと捉える。

「眼、見えるかな? これ何本かわかる?」
「一本と見せかけてニッポン!」
「ふふっ、眼は大丈夫みたいね」

思わずおかしな事を言ってしまったが、きちんと二本の指が見えている。
病室? 何か違う気がする。病室っぽい何かって事にしとこう。よくわからない機材やら何やらも結構ある。ベッドも何台かあるし、医療関係の部屋なのかもしれないな。あ、隅っこに褐色肌のガチムチ犬耳男が居る。

自分の身体がどうなっているのか確認。病院服の様な物を着せられている途中だったのか、ところどころ、はだけてポロリしている、下着は無しっと。この女性が面倒見てくれ―――

「いやーん、襲われちゃうー」
「襲わない襲わない。何か結構余裕あるみたいね」

実はそう見える様に装っているだけだったり。女性の前でこの格好は少し恥ずかしいので、さっさと着てしまおうとしたら……身体が思う様に動かない。

「あのー……大変申し上げ難いのですがー」
「ん?」
「身体がまともに動かないので……着せて下さると、好感度が上がります」
「はいはーい、シャマル先生にお任せお任せ」

流された。というかテンション高いな、えーとシャマルてんてぇ。流れるような動作で着衣の乱れを直してくれる。妙に手馴れている様子。
その後、身体がまともに動かない為ベッドに横になって少し考えるが、まったく状況が把握出来てない現状では考える事すら難しい。

「少し聞きたいんですけど、何がどうなってこうなってるんでしょうか?」

そういう時は事情を知ってそうな人に聞くのが手っ取り早いって事で、椅子に座りながらこちらの様子を観察しているシャマルてんてぇに疑問をぶつけてみた。

「貴方が全裸で地面に突き刺さっている所を彼、ザフィーラが発見してここに連れてきてくれたのよ」
「ウホッ!」

全裸で地面に突き刺さっていたとな? どこの伝説の剣だよ。思わず泣きそうになってしまう程の、衝撃の事実。

「どういう原理か知らないが、直立不動だったぞ」
「余計な情報ありがとうございます」

何て奇妙な状況なんだ、息とかどうしてたんだろう俺。今話しかけてきた犬耳男の……ザフィーラさん? が助けてくれなかったら、今頃どうなっていた事か。……見られてないよな? そんな恥ずかしさのあまり死ねる光景なんて、発見したザフィーラさん以外見てないよな? 見られてないといいなぁ……見られてても見られてなかった事にしよう。

ひとしきり絶望し終わったら、シャマルてんてぇが診察しつつの質問タイム。

「外傷は無いみたいね。自分の名前とか言えるかな?」

恐らくは、自分が気が付く直前まで診てくれていたんだろうとは思うけど、まともに身体が動かないと知って再度確認しているんだろうな。身体に触れる手がぼんやりと光ったりしてるのは気の所為だろうか?
……ともかく、質問されたのなら答えるのが礼儀。

「もろちん! ……………………………あるぇー?」

もろちんって何だよもろちんって。いやいやいや、そうじゃなくて。や、そうだけどそうじゃない。『自分の名前』、それを答えようとしたら何故か出て来ない。それだけじゃない、何かのショックで名前を忘れているのかと思って、記憶を遡ろうとしても何も思い浮かばない。

「……自分の名前がわからないとか」
「え? 本当に?」
「うい。何だかよくわからないけど、名前も含めて自分の記憶が思い出せないのであります」
「……記憶喪失、なのかな? 本当に何も思い出せない?」

心配そうな表情を浮かべて聞いてくるシャマルてんてぇに、こくりと頷いて肯定する。言葉や物の事はある程度わかるが、『自分』に関する事は何一つわからない。

「ザフィーラの話だと、次元漂流者じゃないかって事なんだけど……記憶喪失じゃそれも確認出来ないね」
「じげんひょうりゅうしゃ?」

聞きなれない言葉、いや記憶喪失っぽいから当たり前かもしれないけど、その言葉の意味がわからない。詳しい話が聞きたかったが身体の状態等を考慮し、それは後日と言う事で今は軽く説明してもらう事に。

次元世界。俺が今いるこの世界を含め数多の次元世界とやらが存在するんだとか。いわゆる並行世界とは違う物らしい。
で、俺はどこぞの次元世界から零れ落ちた、迷子さんの可能性があるよくわからん人との事。もしかしたら、最初からこの世界、ミッドチルダとやらに居た可能性もあるが、調べれば次元漂流者とやらかどうかある程度わかるみたいなので今は放置。

「本当なら魔法や時空管理局の事も話しておいた方がいいんだけど……」

また聞きなれない言葉が出てきた。根掘り葉掘り聞きたい欲求を抑え、後日の楽しみにしておこう。
魔法という言葉に関しては、何か引っかかる様な感じになったが同じく今は放置。先程から触れるシャマルてんてぇの手がぼんやりと光っていたのは、魔法を使って身体を治癒していたとの事なんだけど。

「どうしてかわからないけど、何かに阻まれて治癒が及ばないの」
「それは困ったさんなのらー」
「……全然困っている様には見えないが?」

どうしようもない事だからね。自然に治癒する可能性はあるとの事なので、取り乱しても仕方ない。
内心では記憶喪失の事や身体の事、魔法に次元世界に時空管理局の事で不安なんだけど、置かれている状況が状況なので待つしかないっていう。

「今日は色々と疲れてると思うから、検査なんかは明日する事になると思う」
「俺もその方がありがたいです」

あわくって物事を進めても疲れが溜まる一方だからね。お世話になってる立場の癖に、偉そうで申し訳ない気持ちでいっぱい。
難しい話は取り合えず置いておいて、他の話をして気を紛らそう。

「全裸で地面に突き刺さっていた件について」
「次元漂流者なら、その時にいた世界で何かあったのかもしれないわね。……全裸になる様な状況で他の世界に転移? ……駄目、全然思いつかない」
「お風呂に入ってたとか? 着替えてる途中だったとか?」
「だとしても、この世界に来る切欠となる物がある筈だろう? その状況で事が起こるとは考え難い」

確かに、ザフィーラさんの言う通りだな。一体、元の世界ではどんな生活を送っていたのやら。
何か所持品でも残っていればいいけど、全裸だったからそれも無し、と思っていたらザフィーラさんが何かを抱えてこちらに差し出してきた。布に包まれた長めの何か。

「お前が突き刺さっていた近辺に落ちていた物なんだが、魔力の反応があった為簡易的だが封印させてもらっている」
「魔力反応? もしかしたら世界を特定する鍵になるかもしれない」

そう言ってシャマルてんてぇが包みに向かって掌を翳し、封印とやらを解いて布を取っ払い物を取り出した。出てきたのは黒く歪な形をした剣。

「これに見覚えは?」
「……よく、わからない。でも」

剣を手に取ると不思議としっくり来るような感じがする。

「剣の魔力に反応してる……貴方の持ち物に間違いないかも」
「あくまでかも、だけどねぇ。それでも手掛かりになるのならいいかな」

再び包みザフィーラさんに預ける。何でもここは、さっき出てきた時空管理局という組織の一部で、そういった物を調べる専門があるとかないとか。

「二人ともその管理局とやらの局員さんだったんだね」
「改めまして、この時空管理局機動六課で医務官を勤めているシャマルでーす」
「私は局での役職等は持ってはいないが、部隊等の警護をしているザフィーラだ。好きに呼ぶといい。ここの新人達も呼び捨てだからな」

機動六課、でありますか。この辺の話もまだ詳しくは知らないけど、医務官と部隊それに警護という言葉から察するに、戦闘やらなんやらの匂いがぷんぷんしてくる。
というかどう見てもベテランっぽいのに、新人さんとやらに呼び捨てにされてるなんて。

「ザッフィーは人気者?」
「ざ、ザッフィーっ? 好きに呼ぶといいと言ったのは私だが……」
「まあまあいいじゃない。私なんてシャマル『てんてぇ』よ?」

何故かそう呼ばなければならない衝動に駆られたので、激流に身を任せてみました。

「んん。私が呼び捨てにされている理由はだな。普段は人型の形態で過ごしていないからだ」
「人型?」
「ザフィーラは守護獣……って言ってもわからないよね、えっと普段は狼の姿で過ごしているの。人と狼、両方の姿になる事が出来るから」

へー、それも魔法関係なのかな? 守護獣ってなんかかっこいい。
普段は狼形態で過ごしてるとの事だから、マスコット的な扱いなのかな? ザッフィーは。

「私も似たような物で守護騎士だったりするのよ? 他にも三人いて、主でありこの機動六課の部隊長である夜神はやてちゃんの……うーん、家族かな?」
「ほほう、家族で同じ仕事とな? それはいい環境でありますな」
「あはは、まあでもはやてちゃんは立場柄、色々と忙しいし他の三人も新人を鍛えたり、はやてちゃんを補佐したりで忙しいから、仕事中はあまり顔合わせる事はないけど」
「一人は主の補佐、残る二人は分隊の副隊長だからな」

同じ職場にいても組織という枠組みにいるのなら、そうなるのかもね。ただ、食事とかは出来るだけ一緒にしてるらしい。団欒は大切だって記憶の奥に沈む誰かが言ってた。

「今は時期が時期だから、あまり便宜を図って上げられないかもしれないけど、記憶の事も世界の事もなるべく早く解決出来る様に頑張るから」
「その辺りの事はあまり気にしなくてもいいですよ、むしろ仕事優先で」
「とはいっても、シャマルの仕事上、お前に関わるのは必然だからな。面倒でも起きない限りは何かと助けてくれるだろう。余り気負いせずに過ごすといい」

優しい人ばっかりで良かった。それならお言葉に甘えてゆっくりまったりさせてもらう事にします。
次元漂流者の可能性があって、一応病人扱いらしいのでしばらくはここでお世話に。さっき出た部隊長の夜神さんにも話は通しておいてくれるとの事。至れり尽くせりで恐縮です。

「しかし……」
「ん? 何か気になる事でもあったかな?」

気になるといえば気になると言いますか。気にせずにはいられないと言うか。記憶喪失、見知らぬ世界。

「普通、こういう状況になったら、最初に出会うのはガチムチお兄さんじゃなくてムチプリお姉さんだろ、常識的に考えて」
「それは常識的ではないだろう。それに私だって何が悲しくてこういった状況で全裸の少年に出会わなければならないのだ」
「というか貴方、本当に記憶喪失?」

記憶喪失的何かだと思います。救いがあったとしたら、運んでも貰う際に『秘技・お姫様抱っこ』を使用されなかった事かね。男同士でそれは苦行以外の何者でもない、する方もされる方も。おまけにその時の俺は全裸。

「ザッフィーの見事な判断に感服」
「私としては全裸の男を担ぐという苦行の所為で切腹したい気分だがな」
「そんな事いってー切腹切腹詐欺ですね、わかります」
「……どうしてそういう事だけ都合よく覚えてるのかなぁ」

それは俺にもわかりませんよシャマルてんてぇ。ともかく、ここから俺の次元世界ライフが始まるのであります!



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