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朝霧先生(ry 25話 はじめてがgdgd。

色々な情報、と言っても落胆するような話ばっかりだったな。まあ、最悪自分の身体を材料に魔法具を造る(作業は主にエヴァ)とか、色々反則チートが可能だからいいけど。竜種の尾、これだけで本当に色々造れる。
そういえば他の生き残り云々の話は出なかったな、わざと話さなかったのか? それとも知らなかったのか、あるいは生き残りが居ないから話す必要がないと思ったのか……考えても仕方ないか。 一人あれやこれやと考えているとアル・アジフ(ニート)が、せったんに何か思うところがあったのか、じっと見つめている。

「ところで桜咲さん、何やら思い詰めている様ですが?」
「ええ、少し……」
「ああ、そりゃアレだ。せったんはさ、詠春おじ様の娘であるこのかの護衛なんだよ」
「詠春の娘さんの護衛、なるほど……」

これだけでわかる奴には大体わかる。せったんは今、力が欲しいんだよ。本人的にはあまり考えたくない未来、近いうちにこのかが何らかの事件に巻き込まれる、という詠春おじ様やせったんが想定する最悪の事態。その時の為にこのかを守れる力が欲しい。恐らくせったんはこんな感じで色々悩んでいるんだろ。

「私は、お嬢様を守る為……いえ、お嬢様が平穏に暮らせるようにする為の力が欲しいんです」
「私が見る限り、貴女はもうかなりの実力を持っている様に見受けますが?」
「そう、なのかもしれません。それでも、それでもまだ不安なんです。確かに私だけじゃない、タマだって学園長だって、他の魔法使いだって居ます。それでも……」
「なるほど、詠春の娘さんこのかさんと言いましたか? それ程までに大事な存在である、と?」
「……はい」

せったんにとっては初めて出来た同年代の友達。せったんの生まれから無駄に邪魔な圧力が掛かったり、迫害されたりと散々だった日々を癒してくれた友達。ある出来事から疎遠になってしまった友達。
子供とは思えない程に打ち込んだ修練、そしてそれを成す為の覚悟。楽しかった日々すら消して求めた力。それでもまだ、本人は足りない、と。

「アルビレオさんは――」
「クウネルです」
「アル――」
「ク・ウ・ネ・ル、です」
「……そこまで括る事なのか、アル・アジフ(男)」
「ク・ウ・ネ・ル・ですよ」

人が珍しく真面目に思考を働かせていると言うのに、このフードは。
まあ、アル・アジフ(男)的には死活問題なんだろう、ここはこっちが大人にならないと。

「……クウネルさんはもうお気付きかもしれませんが」
「貴女の身体の事、でしょうか?」
「はい。私は……この力を使う事に関しては余り禁忌を感じてる訳ではありません。必要とあらば掟を破り、出し惜しみをする事もないと思います」
「それでもまだ、貴女には力が足りない、と?」
「……はい」

うーむ、困ったな。や、力を使う事云々じゃなく力を求めている事に。
今の所せったんが自身を高めるには、身体能力の向上、気の効率的運用を高める為の修行。あとは、純粋に神鳴流や剣術の技術を高めるくらいしか思いつかない。どれも一朝一夕で出来る事でもないしな。……最悪、エヴァに頼み込んで別荘、と言う手もあるが。

「一つ」
「え?」
「一つ、思いついた方法があります。タマが考えていた事以外に、ですがね」
「ありゃ、顔に出てた?」
「まあ、猫なのでわかりませんが、先程から黙っていたのは何かしらの修行法を思いつく限り、頭の中で出して居たのでしょう?」
「まあ、ね」

見事なり。人の考えている事をホイホイ言い当てるとか、やっぱりただもんじゃない。せったんの身体の事を見抜いた事といい、知識(ぬこの身体の事等)といい、まるで賢者だな。

「私が思いついた方法、というのもそう簡単には習得出来る物ではありませんが」

あ、なるほど。俺も一つ思い当たったわ。戦闘能力を大幅に上げる方法。

「ふふふ、タマにはわかってしまった様ですね」
「あ、あの、それはどの様な……」
「それは……究極技法である咸卦法を修める事、です」

勿論、先に上げた修行法も平行して行う必要があるが、可能性があるなら試して見るべき方法でもある。伊達に究極技法と呼ばれてない。タカミチのを見てる俺が言うんだ、習得出来ればこれ程頼もしいものはない。ないんだけど、せったんは迷う様な仕草を見せる。

「咸卦法……しかし、私は」
「魔力、というのは大なり小なり誰でも持ちうるものです。貴女も例にもれず。貴女は…夕凪から察するに、神鳴流の担い手でしょうから、気の扱いには長けている筈。魔力も、然るべき修行をすれば扱えない事はないでしょう」

神鳴流の使い手が魔力を使用するなんて滅多に、本当に滅多に聞かないが恐らくはフードの言う通り、せったんにも扱える可能性はあるはず。
個人差はあるが、魔力ってのは基本的に気と同じで誰にでもあるものだから。ただ、魔力があるだけじゃ駄目なんだけどな、それを行使する技術や知識が無ければ扱えない。

「最終的な目標は、貴女の気と魔力にて完成させた咸卦法を扱える様にし、それを用いて神鳴流の技を振るえる様になる事。咸卦の気で神鳴流の技を振るう為には、高い才能、それに相当の修練を積まなければ出来ないでしょうが。それまでの魔力の感覚や、融合の修行は……他で補うのがよろしいかと」
「他で、補う……ですか?」
「例えば……そうですね、仮契約にて魔力供給をしてもらう、などどうでしょう?」

それは確かに良い案だ。さすが、詠春おじ様の知り合いなだけはある。個人的に魔法技術関連で色々話してみたくなってきたわ。少しだけ話しただけでも、かなりの知識を持っているんだと判断出来る。俺の知らない別の、魔力や気の効率的運用法とかも知っているかもな。

「か、仮契約、ですか……」

と、仮契約の話だったか。先にも言った通り良い案だとは俺も思うんだけど、せったんの反応が芳しくない。この表情は動揺、かな?

「おや? 気が進みませんか?」
「ああ、いえ……その相手が……」
「居るじゃないですかそこに」
「………へ?」

ああ、俺の事か。んー、せったんの力に成りたいのは山々なんだけど。

「俺、今ぬこ」
「元に戻ればいいでしょう」

そういえばそうだな。んじゃ、あーさーぎーりー……へ・ん・し・ん!

「とう!」
「なるほど、変化が解かれると衣服なども元に戻る、意外と使い勝手がいい様ですね」

どういう原理かは不明だけどな。タマから朝霧ボディに戻った時、全裸だったら嫌だから助かっているけど。

「んまあね。けどなぁ……どうなのせったん」
「どう、とは?」
「俺とキスする?」

瞬間、せったんの顔が真っ赤になった。いや、この反応は驚きであります。仮契約の話が出た時も知っている風だったからねぇ。勿論、仮契約の方法はキスだけではなく、他の方法でも出来るんだけど。多くの魔法使いに知られている方法がキスだったから、言ってみたんだけど。まさか、こんな可愛い反応をしてくれるとは。

「契約の陣は、私が用意しましょう。ふふふ、意外と万能なところに定評のあるクウネルですので、この程度お茶の子さいさいです」

ああ、雰囲気的にそんな感じがするわ。推定賢者なだけあって万能なのかねぇやっぱり。

「あ、ああ、ああああの! わ、わた、わた私、そ、そそそそそその」

動揺し過ぎて上手く喋れていない。ま、せったんの性格的に考えると、この反応が普通なのかな?

「せったん落ち着いて、ほら、紅茶」
「は、はい……ふう」

取り合えず落ち着かせるために紅茶を勧めて、一息ついてもらう。初心でありますなあ、愛いのう、愛いのう。こういう反応が見れるからせったんは可愛い。

「で、せったん的にはどうなの? 目的の為とは言え、キスする事になるんだけどもさ」
「そ、それは……その……あ、朝霧先生は、ど、どうなのですか!?」
「俺? 俺はせったんだったらいいかな? さすがに初対面の相手とか、好きでもない相手とキスするのなんて死んでもごめんだけど」

俺も割と軽い方の性格だとは自覚しているけど、節操無し過ぎる程じゃあない。

「朝霧くんは意外と本音を出す方の様ですね、普通相手がいる前で好き等とは簡単には言えないでしょうに」
「あ、朝霧先生は、な、何も、私の事を、そ、そそそ、その好き、とは言ってないと思うの、ですが……」
「好きです。私、朝霧裕香は、桜咲刹那の事が大好きです」

思った事を素直に口に出せるのは長所であるのと同時に短所である、と昔詠春おじ様に言われたな。
カーッと音が聞こえそうな勢いで、さらに真っ赤になるせったんの顔、耳まで真っ赤になりました。ちなみに、今の言葉に嘘偽りはありません。えーと……地球皇帝に誓って!

「せったんだって知ってるだろ? 好きな物は好き、好きな人は好き、そういう人間……一応、人間なんですよ、俺は」
「で、で、ですが、あ、あさ、朝霧先生は…そ、その…ほ、他にも……えーと」
「ほう? なるほど、朝霧くんは気の多い男性、という事ですか」

えーと、このかとか茶々丸の事かな? 我ながらどうしてこんな性格になってしまったのかわからんけど、好きだから仕方ないんだよ。想うだけなら構わんだろうから、な。

「夢は一夫多妻です。あ、また一つふーえーた!」
「女性の心を置き去りにする発言ですね。そこに愛はありますか?」
「勿論! 伊達に淫獣やってないぜ!」
「それはあまり関係ないですね。まあ、この辺りは貴方達の問題ですのであまり深くは……」

勿論、その場合相手が納得する、という条件がありますがね。アル・アジフ(男)の言った通り、女性の心を置き去りにする発言ですから。なるべくなら、相手の気持ちを優先させたいです。欲望に忠実になるだけでは駄目だと、ヒゲグラも言ってたしな。

「どうする? 俺個人としてはせったんが心の何処かで、嫌だ、と少しでも思っているのなら、これはやめるべきだと俺は思うよ? 咸卦法とまでは行かなくとも、他にも強くなれる方法はあるんだし」
「昨今の男女はキスの価値を軽視してる節があると、学園長が仰っていましたが、いやはや」
「そういうのもありだとは思うけどね。愛情表現の一環的な意味で。ただやっぱりねぇ、個人的には目的の為に、女の子がホイホイキスする、なーんてあまり良い物とは思えない訳なのですよ」

たかがキス、されどキス。開放的な人間なら関係ないと思うけど、せったんの様な初心っ子には大事な事だと、先生は思いますよっと。仮契約云々関係無しにね。
最近の若いもんの考えもまあ、わからなくもない、わからなくもないが開放的過ぎるのはどうかと先生思います、性的な意味で。皆もちゃんと避妊する様に! 成り行きで出来た子供程可哀そうなものはない。責任、という言葉の意味を確り考え胸に刻んで行動して下さい。アレ? 何か朝霧先生の保健の授業的なものになってしまった。

「それで桜咲さん、どうしますか?」
「わ、私は……朝霧先生の事は嫌いではありません。き、キス…をする事に関しても嫌だ、とも思いません」
「ふむん、でも迷ってるようならやめたほうがいいとおもうよ?」
「迷ってはいません。私は……貴方に感謝しているんです。本当は……本当は、学友など作る気はありませんでした。お嬢様の身を守れるのなら、と。でも、そう思っていてもやはり、心は寂しいんです」

人が一人で生きていくのは簡単そうに見えて、意外と難しく困難だからな。一人で居る事に馴れたと思ってはいても、やはりどこかで温もりを求めてしまう。俺だって、一人は嫌だ。

「一番大切な友達と距離を取る事も、一人で居る事も。ですが、そんな時いつも貴方が背中を押してくれました、ちょっと強引ではありましたが。おかげで私は一人ではない、そう思えるようになったんです。子供の時も、私が寂しいと思った時や、悲しいと思った時は……いつも貴方が居てくれました。だから―――」

きゅっと唇を結んで言葉を溜める。俺の事持ち上げてくれてはいるけど、そう大して事はしてないんだよ。背中を押しても、一歩、そのたった一歩を進む事が出来ない子だってきっといる。せったんが今のせったんになれたのは、誰よりもせったん本人が頑張ったからだよ。本人はそんな事ありませんって言うかもしれないけど、進む勇気を持って行動したのはせったんだから。

きっと今この時も難しい事とか色々考えてるんだろう。彼女らしいと言えば彼女らしい、だけどそんな所が魅力なんですよっと。
何かを決意した様な表情、そして真っ直ぐと俺を見つめる瞳。唇が動く、そして溜めていた言葉を放つ。

「―――裕香さんの事は、嫌いじゃないです」
「50点」
「50点ですねぇ」
「ちょーっと待ってくださいっ!? 今、結構良い感じでしたよねっ!? 私の心の葛藤とか、私が普段思っている心に秘めた本心が、今! まさに今解き放たれましたよねっ!? それなのに! それなのに初心な私が精一杯の感情を乗せて紡いだ言葉が50点とはどういう事ですかーっ!?」

いや、だってさあ。ここはねぇ? やっぱアレでしょう?

「裕香さんの事好きです! とか、裕香さん愛してる! 私を生涯の従者にして下さい! とか、そういうのを期待していたのですよ私は。クウネル的に点数を付けるなら今のは間違いなく50点です」
「俺も内心ハラハラドキドキしながらせったんの話を聞いてたのに……俺的にも50点でありますよ」

あの雰囲気の中だったから余計に熱いのを期待してたんだよ、先生は。

「これが! 今の私の精一杯なんです! これ以上はもう恥ずかしくて言えないんです!!」

ほほう? 何と、つまりアレですか? せったんはアレなんですか?

「本当は朝霧くんの事を好きだけど、恥ずかしくて言葉にする事が出来ない、と。いやいやいや、これは中々、青春ですね、朝霧くん」
「まったくでありますなぁ。さっきまでは50点だったけど、今の言葉で90点になりましたですよ、はい」
「おや? 朝霧くんもですか? 私も今の言葉で桜咲さん株急上昇で同じく90点です。いやー、良い物が見れましたね」

少なくとも嫌いではなく、されどそれ以上の言葉は恥ずかしくて言えない。先に好きだと言った俺としてもそれだけでも十分。ありがとうせったん、と心の中でお礼。

「~~~っ!!」

俺とアル・アジフ(男)が少しからかい過ぎた所為か、顔を真っ赤にして地団太を踏むせったん。中々レアな光景であります。やっぱりせったんは可愛い、可愛いのう、可愛いのう。

「それでは、桜咲さんの本心が見えたところで、お待ちかねの仮契約とでも行きましょうか」
「いえっふー! 待ってましたー!」
「……もう、何がなんだか」

何処からか取り出したチョークで、カカッと仮契約の魔法陣を書き上げていくアル・アジフ(男)。
それにしてもせったんとのキスか。実はここだけの話、せったんのファーストキスの相手は先生なんですけどね。本人は恐らく覚えて居ないだろうけど。だって子供の時の話な上にせったん酔ってたし。つまり、奪われた側なのでありますよっと。というか誰だよせったんに酒飲ませた奴……詠春おじ様だよ!

カカッと素早く書かれ完成した契約の魔法陣。本当に万能だな。

「さ、刹那」
「………」
「せったん?」
「は、はい!」
「……刹那で反応しないとか、折角雰囲気出して見ようと思ったのに」

これでもたまには空気読むんだよ? だからせったんも空気と雰囲気を読もうぜ。

「も、申し訳ありません! ……って、そもそも貴方がせったんせったん呼ぶから!」
「はいはい、それじゃあ改めて、刹那、魔法陣の上に」
「……はい」

刹那の手を引いて、共に魔法陣の上に立つ。身体が密着するほどの距離。お互いの心臓の鼓動が聞こえかねない、そんな距離。朝霧ボディでここまで接近するのはどれくらい振りだろうか?

「力を抜いて…」
「は、はい……」

少し緊張の色が見えるのでリラックスする様促す。刹那の整った顔に手を添え、お互いに一呼吸。その後、決意したかの様に瞳を閉じる刹那。ゆっくり、ゆっくりと、その可愛らしい唇に近づいていき――

「「んっ……」」

――仮契約!!――

仮契約の魔法陣が激しい光を放つ。キスの効果もあるのかはわからないが、何かが繋がった様なそんな感じがする。

「青春ですねー。ナウヤングのキスシーンを拝めるとは、いやはや眼福眼福。……お二人共? いつまでキスを続けるおつもりですか? ああ、なるほど。このまま最後の一線まで越えてしまうと、そういう事でしょうか?」
「んむ……ふう、いやいやいや、久しぶりの接吻だったから思わず」
「こ、これは、そ、その……ふ、雰囲気といいますか…そういうのに影響されたといいますか」

――朝霧はロリコンの称号を手に入れた!――

「いや、余計なオプション付けなくてもいいから」
「そうですか? まあ、今日は色々楽しめたのでこのくらいにしておきましょうか」
「……クウネルさんって趣味悪いですね」
「そうか? むしろこう……ねえ?」
「ええ、何と言いますか……ねえ?」

何かもう、俺とじいちゃんとアル・アジフ(男)の三人で何でも出来る気がしてきた! エヴァをからかったりとか、エヴァにコスプレさせたりとか、エヴァの恥ずかしい話を暴露するとか! エヴァばっかりだな。

光が収まるのと同時に契約の陣が消え、カードの様な物を持ったアル・アジフ(万能)が歩み寄ってくる。

「これが仮契約カードです」
「ほうほう、つまりこれがあれば、いつでもどこでもせったんを呼び出せると?」
「……お願いですから、変なタイミングで呼んだりしないで下さいよ?」

それはわかりませんよっと。複製カードも渡してこれでおkだな。絵柄は……何故かせったんの翼でもふもふしてる俺(タマボディ)が。せったんのアーティファクトはなんだろ?

「使用方法はわかりますよね?」
「ええ、一応。――“アデアット”」

出てきたのは16本の短刀。使用者の意思で自由に動かせられるのかね?
えーと何々? 七首・十六串呂、ねぇ。いいなコレ俺が欲しいわちくしょう。

「修行云々抜きにしても、戦術の幅が広がるな」
「ええ、私の様な剣士には案外、こういった物がいいのかもしれません――“アベアット”」

タマん時の躾用にも使われそうだな。16本の短刀に囲まれてガクブルしてるタマを幻視してしまった。こいつはやべぇ。

「魔法や気の技術的な指南を必要とされているのでしたら、いつでも来てください。キャシーにも許可は出してあるので、これからは出入り自由です」

場所が場所だし、他にもやる事があるから頻繁には来れないとは思うけど。俺としてもアル・アジフ(賢者)の知識には興味があるから、来れる時に来よう。

「あいよーってキャシー!? キャシーの事すっかり忘れてたー!」
「きゅぅぅぅぅぅん………」

大きな翼の先端部分でのの字を書きながら拗ねているキャシー。時折こっち向けて、瞳に涙を溜め悲しそうな視線を向けられる。良心が、俺の良心がバニッシュデス。

「す、拗ねてます、ね……はは、拗ねる竜……」

キャシーごめんよー! もう忘れたりしないからー! 途中からマジで空気だったもんなぁ。前言撤回してもっと頻繁に来るようにするかなキャシーと遊ぶ為に。

「それじゃ、今日のところはこれで帰るわ。またなーキャシー!」
「それでは失礼します」
「きゅーん」
「ええ、それではまた」

我が家に向けて転移! 楽でいいよね!







「―――はっ!」

この感じは以前にも? ……いえ、これは以前とは違う?

「どうした茶々丸? また馬鹿霧から電波でも届いたのか?」
「いえ、その……上手く言語化出来ないのですが」

そう、この様な感じは今までに一度も。何か大事な物を取られてしまうような喪失感。
―――これは! 間違いない。朝霧先生の―――

「あああアアア朝霧先生の――」
「馬鹿霧がどうした?」

重要な事を言う時はタイミングを計れ。これも貴方の教えでしたね。
このタイミングでは駄目です。そう、今、マスターが紅茶を口に含んだ瞬間!

「―――朝霧先生のはじめてが奪われました」
「ぶふうぅぅぅぅぅぅッッッッッ!!?」

マスターが紅茶を吹き出すのと同時に、飾っていた一輪の花が――ポトリ、と音を立てて落ちました。
朝霧先生のどのはじめてが奪われたのかは、残念ながら受信出来ませんでしたが。こういう時の行動プログラムに確か『お玉で中身が空っぽの鍋をかき回す』という物があったはず、通称『空鍋』。朝霧先生のはじめてが奪われたのなら、空鍋をやらざるを得ない。



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