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朝霧先生(ry  48話 登校地獄でgdgd。その八。前編

一発目の気弾を弾き飛ばしてから数分、未だにあらゆる方向から放たれる気弾を捌き続けている。比較的威力の低い気弾は障壁で防ぎ、威力が高めの気弾は障壁と纏った気で弾き、更に威力の高い物は回避。始めに放たれた気弾の威力が予想外だったのだろう、アレを弾く為に一々魔法の射手を装填していたら、魔力の無駄遣いだ。気弾を放っていると思われる敵の姿はまだ見えない、一定の距離を保ちつつ、移動しながら攻撃していると思われる。とは言っても、朝霧先生の眼はどうやら敵の姿を捉えている様ですが……このままでは埒があかない。

広範囲を攻撃する手段があれば、敵を燻り出す事が出来るかもしれないが、その手段がチャオズしかない朝霧先生にとっては、戦い辛い事この上ない筈。よく我慢しているものだと、ある意味関心する。

『どうするんですか、朝霧先生』
『……何とか燻り出してみる』

策が無い訳でもないようだ。……よく考えれば広範囲を一気に攻撃する必要はなかったですね。敵の動きが見えているのであれば、長距離でも無い限り攻撃する手段がありますから。
……予想通り、朝霧先生は魔法の射手を最大数、つまり20創り出し待機させている。そして敵が気弾を放ったその瞬間に、全ての魔法の射手を敵に向かって放つ。私達からは見えないが、恐らく回避行動に出ているはず、その隙に朝霧先生が転移魔法を使い、敵と思われる人物の背後に。

私達が見ている映像も、転移した朝霧先生とその人物の後姿を映し出している。
20歳後半くらいの男性、金髪で短髪、それに黒いスーツを着ている。恐らくは180を超えているであろう身長、朝霧先生と比べるとよくわかります。そして両手には彼の得物と思われるトンファー。そのトンファーも長さ1m以上はありそうな上に、人の腕の1.5倍程度の太さ、更に気になるのはトンファーの中間部分にある不自然な溝、何かを仕込んでいる可能性が高い。

どう見ても近接戦闘型にしか見えないはずなのに、姿を消しつつ気弾を連発していたという事は、朝霧先生の体力や気、魔力を消耗させる為なのではないかと推測する。この推測が当たっていたのなら、あまり効果は無かったと言わざるを得ませんが。朝霧先生の身体に埋め込まれている、『賢者の石の贋作』と言ってもいいのかどうかわからない代物のおかげで、気と魔力両方の消費はかなり抑えられている上に、体力が減っていても、賢者の石の贋作が無理矢理回復させる。……こう改めて考えてみると、朝霧先生もかなりの反則ですね。再生能力もありますし、ただ、魔力の続く限りではありますが。
と、私が考察している間に、朝霧先生が男性に話しかける。

「迷子ですかー? それとも麻帆良に用があるのでしょうかー? 前者の場合は多少の事情聴取の後、貴方のお家にお届けしますー。後者の場合は、後日、日が高い内に改めて訪問して下さい」

何を今更。アレだけの攻撃を仕掛けていた人物が、迷子という訳でもないでしょう。麻帆良に用があるのかどうかはわかりませんが。お嬢様の身柄を狙っての行動なら、派手に動きすぎている……そう考えると、お嬢様には関係ない? もしくは派手に騒ぎを起こすことで囮となり、別働隊が奇襲を仕掛けてくる、と言う事も考えられますが。

投げかけられた質問には答えず、男性はゆっくりと朝霧先生に向き直る。そしてその顔を見た瞬間、朝霧先生からうるさいぐらいの念話がっ!

『こ、こいつっ! イケメンだ! おまけに長身で足がなげぇーっ! もげろ! もげろ!』

な、何て分かり易い嫉妬なんでしょうか。確かに長身で、顔も整っていて世間一般で言う美形だとは思いますが。そこまで騒ぐ程の事でもないでしょう。先生不機嫌です、というのが丸分かりな程のドス黒い炎(イメージです)が背後で燃え盛る中、朝霧先生は再び話しかける。

「お名前は?」

先程と同じく答える素振りを見せない、その代わり男性の眼が鋭くなり―――これが返答だと言わんばかりに、トンファーを朝霧先生の顔面に振るい吹き飛ばした。先程放たれていた気弾から、かなりの実力者だと言う事はわかっていましたが、油断し切って足元お留守だったとは言え、常時展開されている障壁を抜き、容易く朝霧先生に一撃を入れるとは。

その一撃を受けた朝霧先生はというと、吹き飛ばされて崩された体勢を整えつつ、右足を地に付け勢いを殺し、攻撃を受けた場所、つまり顔を左手で撫でながら、

「お名前は教えてくれないと、では職業は何を?」

……その質問に何の意味が? 朝霧先生が何を考えているのかイマイチわかりません。
対する男性は、距離を詰め次の攻撃に移っている。かなりの移動速度、瞬動を使わずにここまでの速さ。先程の一撃も、朝霧先生は平然としている様に見えますが、相当重い一撃だった筈。もしかしたら朝霧先生勝てないんじゃ……

朝霧先生には珍しく、自分から攻める様子はない。変則的で軌道の予測が困難な男性の攻撃を、捌き避けてはいるが、全てを捌き切れずに攻撃を受けてしまっている。頭部、脇腹、そして身体中の間接を的確に狙い振るわれる、鋭く重い攻撃。いくら朝霧先生に贋作の補正があったとしても、このままではやられてしまいかねない。

「……何であんなにやられてるのに、朝霧先生笑ってるんだろう?」

確かに、あれだけ打たれていると言うのに、朝霧先生は顔に笑みを浮かべている……って、アキラさん、そんな事を言ったら茶々丸さんがまた変な事を―――

「恐らくは挑発なのではないかと判断します。それが有効かどうかはわかりかねますが」

真面目だーっ!? いつもなら、「朝霧先生にその様なご趣味がっ」とか言っている筈なのに、いきなり真面目な態度を取られてしまい、危うくお茶を噴出すところだった。

「私の顔に何か付いていますか?」
「い、いえ……」

……変な事を考えていたのは私だったと言うオチ。余計な事は考えずに、今は朝霧先生の戦いに集中しよう。

防戦一方ではあるが、笑みは崩さず、いや更に嫌味ったらしい笑みになっている様に見えるのは気のせいではないだろう。あれは、そう、先程見たゆっくり裕香の様なイラッとしてウザッと来る、あの顔に近い、気がする。
が、相手はそんな朝霧先生の表情など、意に介さず攻め続ける。右手に持つトンファーを回転させ、左足を前に出し、そのまま腰を下ろし、左手はトンファーを盾にする様に構え―――一気に駆け出した。

朝霧先生に近づく度に、トンファーの回転は激しくなり、恐らくは最高速であろう速さに達した時、下から掬い上げる様に、朝霧先生の顎に向けて振るった。
そこで朝霧先生の動きに変化が生じる。回避不可能なはずのタイミングで繰り出されたそれを、左手の掌で受け、放たれた力に逆らわず、自ら後方に飛び威力を打ち消したのだ。
捉えたと思っていた一撃を防がれた男性は、一瞬呆けた様表情になり動きが止まる。その瞬間を見逃さず朝霧先生は―――

「名前はもげ朗、職業は刺身の上にタンポポのせる仕事、と」

スーツのポケットから取り出したメモ長に、勝手に付けた名前と職業をニヤニヤしながら書き込む。

「……何のつもりだ?」

初めてもげ朗(仮)さんが口を開く。まさか今の挑発……の様なものに反応するとは、今までのスルーっぷりからは考えられない。

「きっと……お刺身の上にタンポポのせる仕事が、嫌やったんやないかなぁ……」

そう、なんでしょうか? だとしたら、今の自分の仕事に誇りを持っているから、侮辱された事に思わず反応してしまったのでしょうか? 先程までの無視っぷりから考えると、余計な事は喋らず、ただ仕事を遂行する、その様な人物だと思っていたのですが、そう、まるで依頼を受けた殺し屋の様―――まさか、ね。

「何のつもりだ、とか聞かれても、何を聞いても反応してくれないから、適当に捏造して煽ってやろうと思っただけでありますよ、もげ朗さん」

今度は『もげ朗』という言葉に、男性は僅かだが反応を見せる。それにしても朝霧先生、わざわざそこまで話す必要はなかったのでは?
距離を保ちつつも、朝霧先生は先程と同じ表情を浮かべ、男性は眼をさらに鋭くし、青筋を浮かべている。だが、ここで挑発に乗ってしまう様な人物ではないだろう、そう思った時だった。

「……きだ」

絞り出す様な声で、男性は何かを呟く。

「俺の、名前は、轟だぁ!」

え、ちょ、割とあっさり挑発に乗ったぁっ!? 自分の名前を怒鳴るように宣言し、更にきつく朝霧先生を睨み付け、いつでも攻撃出きる様、構えを取る。

「車、車、車。車三つで?」
「轟だあああああ!」

それが合図だった。瞬動を使い、朝霧先生に突っ込んで行く。轟と名乗る彼が纏っていた気も密度を増し、映像越しでも伝わる威圧感。これが彼の本気なのだろう。身体を捻り、腕を鞭の様に撓らせ、遠心力を加え振るわれたトンファーが、朝霧先生の身体に吸い込まれて行き、激しい打撃音と共に吹き飛ばされ、ボールの様に何度も地に叩き付けられ、地を抉りながら失速しようやく止まる。
かなりの衝撃だったのだろう、朝霧先生は口から血を流しヨロヨロとフラ付く様に立ち上がり、轟を見て顔を真っ青にし―――

「ひ、ひぃっ!? と、轟って言うからライダーの方かと思ったら、ギューンでそいやなだんすぃ好き好き轟さんだったのかぁっ!? はっ! ま、まさかその極太トンファーで、お、俺の菊乃さんをひぎぃするつもりだったのかぁ!」

今この場に置いて絶対にありえない事を口走りやがり始めました。

「違う! 俺は依頼を―――」

どうやら、今の言葉は轟さんにとってはクリティカルだったようで。まさかこうも簡単に挑発に乗るとは、相手が朝霧先生だったからだろうか? それとも意外とお馬鹿さんだからか……麻帆良に来るとお馬鹿になる、なんて迷信を聞いた事がありましたが……
慌てる彼に構わず、朝霧先生は更に彼を突付く。

「ほほう? 依頼、でありますか?」
「ぬおっ、しまったぁ!?」

容赦の無い攻撃、そして依頼、やはり殺し屋の類なのでしょうか? 対象は、朝霧先生? だとしても朝霧先生を狙う理由なんて、お嬢様の護衛という事以外見当も付かない。知らない間に恨みを買っていたという事もあるのかもしれませんが、基本、麻帆良で引き篭もっている朝霧先生に、恨みを抱かれる様な事なんて……事なんて、無いと言い切れないのが悲しい。

「狙いは……俺?」
「ああ、ああそうだよ! お前だよ! とある人物からお前を、朝霧裕香を抹殺して欲しいと、依頼を受けたんだよ!」

あ、開き直ってペラペラ喋り出した。プロとしては失格の行動なのでは? さすがに依頼主をバラすという事はないでしょうから、これ以上の情報は得られそうにない。それに、もはや親の仇でも見ているかの様な鋭い視線、挑発し過ぎたのかもしれませんね。

「もう―――死ね」

そう呟き、先程よりも速い動きで朝霧先生に接近し、鳩尾を穿つ。そして浮き上がった無防備な身体に、次々と叩き込まれていくトンファー。凄まじい乱打、叩き込まれるそれは、宙に浮いた朝霧先生を地に足を付ける事を許さない。
無限に続くかと思われたそれだったが、右手を引き先と同じく掬い上げる様にトンファーで、朝霧先生の身体を高く打ち上げ、自身もそれを追う様に飛び上がって背後を取り、両手に持つトンファーを回転させながら振り上げ、背中に打ち込む。
受身を取る事すら出来ず、地に叩き付けられた朝霧先生が顔を上げた時には、唇の端を吊り上げ、さらに腹部を強打する。身体をくの字に曲げ血を吐き出し、攻撃の衝撃で地面にめり込む。だが、彼の動きは止まらない。身動きの取れない朝霧先生の身体に再度叩き込まれるトンファー。彼が朝霧先生を打つ度に、地面が捲り上がり球状に陥没していく。

「あ、あう、せっちゃん、裕香がっ」

まずい。あれだけの攻撃をまともに受けたのだ、ピクリとも動かなくなりボロボロになった朝霧先生の身体が、受けたダメージの深刻さを現している。
そんな朝霧先生を見下ろしながら、彼は右手を頭上に掲げる。ゆっくりと集束していく気、激しく回転し始めるトンファー。止めを刺すつもりかっ。今の状態であの攻撃を受けたら……そう思った時にはもう、立ち上がり朝霧先生の援護に向かおうとしていた私を―――

「今からでは間に合いません」

―――冷静な声で茶々丸さんが止めた。もう、遅すぎる。集束し終わった彼の気は紫電を発生させ眩しいくらいに発光している。

「これで―――終わりだ」

無慈悲に振り下ろされた一撃。激しい爆音と共に陥没していた地面はひび割れ、舞い上がった砂塵と破片が落ちてくる。視界を塞いでいた砂煙が晴れていく。―――だが、その場所には朝霧先生の姿は無かった。跡形も無く消された訳ではないはずだ。それでは、あの身体の状態でどうやってあの攻撃を……まさか。

「スーツがボロボロな上に、身体中傷だらけで酷い事に……これじゃあお婿に行けないじゃないかぁ!」

驚愕の表情を浮かべながら、彼……轟は声の方向を見る。

『いやぁ、事前に転移魔法を準備しておいて良かったのでありますよー。あんなの喰らったらもっと酷い事になってたしー』

そして、私達には殺し合いの最中だとは思えない程の、呑気な念話が届いた。どうやら間一髪、転移魔法で攻撃を回避していた様で。ですが、いくつか解せないことが。

『何故、無防備に攻撃を受け続けたんですか? 朝霧先生なら―――』
『ふっふっふっ、確かに、早漏の朝霧の異名を持つ俺のスピードなら、あそこまで攻撃を受ける事はなかった筈、と言いたい所だけど、ぶっちゃけ一撃一撃が重すぎて、ガードする気も起きなかったから、ギリギリまでやらせて、手の内をみせて貰おうかと』

馬鹿ですか貴方は。一歩間違えれば死んでいたかもしれない猛攻だったのに……というか『早漏の朝霧』なんて異名初めて聞きました。
まあいいでしょう、とは言えませんが。思っていたよりも相手の実力が高い。万が一と言う事も考えられる、それならば。

『朝霧先生、変身して下さい』

私が言おうと思っていた事を、茶々丸さんに先に言われてしまった。
今の状況を引っくり返すには、朝霧裕香では少し辛いでしょう。『裏技』というのを使えば少しは違うのかもしれませんが……使う気はまだ無い様ですし。ですが、タマなら、今の状態よりも戦闘能力が高いタマならば、たとえ彼が何らかの隠し玉を持っていたとしても、対応出来るだけの実力がある。
それに、最初に感じた嫌な予感が消えない。長期戦などと言わず、さっさと終わらせてしまうべきだ。

『先生、無茶ばっかりしたら駄目、だよ』
『おお、心配かけてしまったみたいだな、我が弟子よ。だが大丈夫、ここからは朝霧先生のスーパータマタマタイムが始まるから』

アレだけ滅多打ちにされている所を見れば、アキラさんの様な方は心配するに決まっているでしょうが。
せめてリーチの違いを埋める意味で、腰に挿してある剣くらいは使って欲しかった。

「そこで呆けている童貞さーん」

避けられた事がそこまでショックだったのだろうか、何故か今の今まで呆けていた轟が朝霧先生に視線を向けて睨み付け、

「俺は童貞じゃあない」

あっさりと否定する。

「じゃあ素人童貞」
「素人童貞でもない」

これも否定。どうていって一体何? そのどうていと言う物には、素人とか玄人とかあるのでしょうか?

「んじゃ、包茎」
「ほ、ほほほほ包茎ちゃうわっ!」

さっきの冷静な返しからは、想像も出来ないくらい狼狽している。ほうけい……これもわからない。いったい、どの様な意味があるのだろう?

「お嬢様は、わかりますか?」
「どうてー、っちゅーんは確か、えっちぃのを体験した事の無い男の子の事やーって、ハルナが言うてたわ」

ちょ、そ、そういう意味だったとは……というか早乙女さん……

「ちなみに包茎とは―――象さんの事です」
「象さん?」

なるほど、ほうけいは象さん、と。よくわかりませんが、朝霧先生に聞けば教えてくれるでしょう……って、いや、こんな事を話している場合ではないっ! どうにも皆さんと話していると、脱線するといいますか。……脱線する話題を振ったのは私だった。

「ちっ、アレを避けたとはいえ、その身体、相当なダメージが残っている筈だ。その余裕はどこからくる?」
「露骨な話題逸らし乙。余裕、ねぇ。フヒヒ、それは今から車三つで轟包茎さんが身を持って味わうことになる」

だから包茎じゃない! と轟は必死で否定する。象さんはどうやら男性に取っては重要……っぽい話らしい。

「よし、まずは微妙な気持ちにさせてやろう。この俺、朝霧裕香は変身する度に、何か色々減ったり増えたりする。その変身を後二回も残しているんだよっ!」
「はっ、言うに事欠いて変身とは、ただのハッタリなんじゃあないのか?」

嘘っぽく聞こえるが、実はハッタリじゃないのが、朝霧先生のある意味恐ろしい所だ。今、彼は朝霧先生の言った通り、微妙な気持ちになっている事だろう。そんな状態で、実際に変身する所を見せれば、どの様な状態であれ、少なからず隙が生まれる。朝霧先生の事だから何も考えていないでしょうが、案外いい方向に持っていけそうだ。

「光栄に思うがいい! この姿は割と色んな人が日常的に見ている!」

まあ、そうですね。変身する瞬間は見てなくても、変身後なら麻帆良に住む大勢の方が見てるでしょう、猫ですし。

「ほぉあああああああ……っ!」

足を開き両手を腰の辺りで握り、若干前屈みになりながら、どこかで聞いた事のある声を出し始める。どうして、こう余計な演出を加えようとするのかと。小刻みに身体を震わせながら、気の放出まで……恐らく戦闘に支障のない程度でしょうが……朝霧先生のやる事には無駄が多過ぎる。
で、攻撃を加えるには絶好のチャンスの筈なのですが、轟は構えたままじっと朝霧先生を見据えて動かない。朝霧先生が無駄な演出を加えた事で、罠である可能性を考慮してしまい、迂闊には動けないと言った所でしょうか。
そういえば、依頼を受けて朝霧先生を抹殺しに来た、と彼は言っていましたが……猫に変身する事は知らないのだろうか? 事前に調べているのであれば、そのくらいの情報、すぐに手に入りそうなものなのだが。急な依頼で調べる時間が無かった、というのもおかしい……もしかして殺し屋ではなく、殺しもする何でも屋の様な物なのかもしれない。
おかしいと言えば―――

「ほぉあああああああ……っ!」

さっさと変身すればいいのに、何時まで経っても変身しない。朝霧先生が満足する程度には、無駄な演出もしたのだから、ここまで引っ張る必要なんて無い筈なのに。

『朝霧先生、勿体振ってないで早くタマに―――』

焦れた私は、念話で変身する様催促したのだが、返ってきたのは、

『あ、あれー? お、おかしいなぁ、先生変身出来ないぞー?』

何て、とんでもない返事だった。変身が出来ない? そんな冗談を言っている場合ではないのだが……どうやら本当に変身出来ないらしい。こ、これはまずい。

「はっ、やはりただのハッタリだったか。まさか気を放出するのがお前の変身だったとは」

どうやら、向こうにも気付かれてしまった様だ。確かに、いつまで経っても変身する様子がなければ、すぐにわかってしまう事なのだが。

『アッー! 今の展開にピッタリな事を言われたのに、変身出来ないとか何の罰でありますかー!』

念話で叫びながら、朝霧先生は器用に彼の攻撃を避ける。また防戦一方になるのかと思いきや、繰り出される攻撃を若干見切っている様に見える。確かに、十分過ぎる程彼の動きは見たし、受けた。だが、全てを見切る事は出来ない。朝霧先生が彼の呼吸に合わせて動けば、彼はリズムを崩し更に攻める。
相性が悪い。また、攻撃が当たり始めている。先程の茶番で、受けた傷はある程度治癒され、万全の状態に近かったのが逆戻りだ。

『……変身が出来ないのなら』

不意に届いた念話。大振りの一撃の隙を突き、瞬動で後方に下がった朝霧先生は、

『裏技を使わざるを得ない』

左手を頭上に、右手を地面に向け構えた。これが裏技? この構えはどう見ても―――

「天地魔闘の構えや……裕香、とうとう自棄になってもうた……」




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