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朝霧先生(ry  48話 登校地獄でgdgd。その八。後編

そう、いつか漫画で見た、天地魔闘の構えそのものだ。遊んでいられる状況ではないのに。

その構えに脅威を感じなかったのか、右手に持つトンファーを半回転させ、先端に気を集中し始める轟。ユラユラと揺れ安定していなかった気が、徐々に鋭く鋭利になり槍を思わせる形状に変化する。アレは危険だ。いくら朝霧先生でも、アレで心臓や頭を貫かれたら……きっと死んでしまう。ただ心臓を貫かれただけなら死なないかもしれないが、アレは心臓を貫きそして、潰す、そんな技だ。
それを眼にしても、朝霧先生は動かない。それどころか、

『せったんとのラッキースケベイベントで会得した、この天地魔闘の構えが敗れるなんてありえない』

こんな事を言い出す始末。迎え撃つつもり、なのでしょうか?
得物を構え、地を蹴り疾走する轟、それでもまだ動かない。さっきと同じだ。もう間に合わない、彼の放った一撃は吸い込まれる様に朝霧先生の胸を―――

『裕香さ―――』

―――貫く筈だった。
そう、貫く筈だったのに、朝霧先生の左手が一瞬ぶれ、翳んだ様に見えたと思ったら、次の瞬間には彼の持つトンファーは弾かれ、右手が同じ様に翳み、彼は膝を着く。何もわからなかった。わかったのは、

「朝霧イレイザーガンッッッッ!!」

いつ集束されていたのか気付けなかった、恐らくは最大数最大出力であろう魔法の射手が轟を飲み込み、地面を抉り破壊しながら吹き飛ばした事だけだ。何故か、魔法の射手は口から出ていましたが。

「こはあぁぁぁぁ……」

口から煙を出しながら、ゆっくりと息を吐きながら構えを解く朝霧先生を見て、安堵した。心臓に悪すぎます。

「……今の見えましたか?」
「いいえ、全く。最後のイレイザーガン以外は何も」

茶々丸さんにも見えなかったらしい。天地魔闘自体は、恐らくネタなのでしょう。問題はどうやって、あの必殺の一撃を弾き、膝を着かせたか。朝霧先生の身体能力では、いくら気で強化していても出せない筈の速度で動いた両腕。こういう時にクウネルさんが居てくれたら、解説してくれるのでしょうけど。まさかそんな都合よく現れるなんて、そんな馬鹿な話が―――

「呼びましたか?」

あったら非常に怖い。気配はないのに声だけ聞こえる事の何て異常な事かっ。お嬢様とアキラさんなんて、突然聞こえた声に驚き、咄嗟に抱き合っている。茶々丸さんだけは一人冷静ですが。

「私、クウネル、今貴女達の―――」

どこのメリーさんですか、そう心の中で突っ込みながら後ろを振り返ったのですが、誰も居ない。

「―――真上に居ます」

声に釣られて天井を見たら、ニコニコと笑みを浮かべながら逆さになっているクウネルさんが居た。また心臓に悪い事を……というか、どうしてここに居るのでしょうか? 司書の仕事はいいんでしょうか? ああ、貴方もニートでしたね。

「ひぃぃぃ……せ、せっちゃん、な、何かおるぅぅぅ……」

お嬢様は驚き過ぎて涙目になってしまっている。あの、朝霧先生と轟の殺し合い……と言うにはちょっと微妙な戦闘の変な緊張感が解けているのはいいのですが。紹介、しておいた方が良さそうですね。

「安心して下さいお嬢様。こちらは、図書館島の司書長を勤めている」
「クウネル・サンダースです」

やっぱり本名は名乗らないんですね。お嬢様とアキラさんも、一応の落ち着きを見せ自己紹介。……クウネルさんの事は秘密にしておく筈だったのですが。まあ、本人がこうして出てきているのなら気にする事でもないんでしょうけど。

「ついでに、裕香くんのパパみたいのものです」

またそうやって平然と嘘を付く。そんな話誰が信じると―――

「まあ、初めまして。朝霧先生の従者を勤めている、絡繰茶々丸と申します、よろしくお願いしますお義父様」

ああ、いましたね、そういう事に食いつきそうな人。いつもの茶々丸さんに戻った様で、安心した様なしない様な。……何気に呼び方が『朝霧くん』から『裕香くん』に変わってますけど、何かあったんでしょうか?
まあ、一先ずそれは置いておきましょう。

「どうしてここに?」
「裕香くんに頼まれて落とし物をしてくるついでに、裕香くんの居る場所に認識阻害と防音の結界を張り、タマタマタマちゃんの様子を見に来たのですよ」

『落とし物をしてくる』? 意味がわからない。タマタマタマちゃんの様子を見に来るのは、まあわかりますが。というか、アレだけ派手に戦闘があったのに、結界の事をすっかり忘れていました。ナイスフォローですクウネルさん。

「ところで、クウネルさんは今の戦闘を?」
「ええ、ずっと見ていましたよ。ニートで暇人な私の趣味の様なものですし」
「ニートなんだ……」

ニートと聞いて、アキラさんがなんとも言えない表情を浮かべる。気持ちは痛いほどわかります。
それはさておき、聞きたい事があるので聞いておきましょう。

「朝霧先生の使った……裏技、というのが何かわかりますか?」
「ああ、アレですか。ただの瞬動ですよ」

はあ? 瞬動? 

「まだ、戦闘も終わってない様ですし、見る機会はあるでしょう。見破ってみて下さい」

終わってない―――ッ! クウネルさんの言った通り、まだ戦闘は終わってない様だ。轟は、あの攻撃を受けても尚、身体中をボロボロにしながら立ち上がっている。朝霧先生に弾き飛ばされたトンファーを拾い、今度は両手を頭上に掲げ気を集束させている。トンファー中間部分にある溝が上下に別れ、長さを増し、ゆっくりと回転させ始める。……隙だらけだ。技が出来上がるまで時間が掛かりすぎている、そういった判断力がある人間だと思っていたのだが、

「殺す……絶対に殺す……肉片も残さずに消し去って……殺す」

どうやら頭に血が上って逆上している様だ。朝霧先生もその隙を見逃さず、魔法の射手を右手に装填し、瞬動で突っ込んでいく。どうやら裏技というのを見る前に終わってしまいそうだ。





「いいえ、アレは……罠です。裕香くんもまだまだですね」





罠? 聞き返そうと思ったその時だ。朝霧先生が近づいたのと同時に気の集束を終わらせ、トンファーの回転を最大まで高め、唇を歪ませた轟の姿が目に入ったのは。
朝霧先生も気付いた様ですが、遅い。恐らくその位置はもう技の射程距離の範囲内だ。転移魔法も瞬動も間に合わない。
獣の様な咆哮と共に振り下ろされた両腕。集束された気が爆発し半球状に広がり、地面を抉り取り粉塵と破片を巻き上げ、一瞬にして朝霧先生を飲み込んでしまった。更に、発生した衝撃の余波は巻き上げられた粉塵を消し去り、破片をも塵に変えていく。余波が収まり、技が発動した中心を見ると、直径5m程のクレーターが出来上がっている。技の範囲内にある物全てを消し飛ばし、残っているのは技を放った本人だけ。
朝霧先生の姿は―――無い。






「朝霧裕香、抹殺完了」







響き渡る轟の声。呆然としている私、いや私達の目に入ったのは、先程と変わらずニヤニヤと笑みを浮かべているクウネルさんだった。何がそんなに楽しいのだろうか。

「見えませんでしたか? 心配しなくても、裕香くんは生きていますよ」

嘘だ、回避なんてする暇は無かった筈―――いや、確かタマタマタマちゃんは朝霧先生の動きと一緒に、映像も切り替わるはず、それなら。

「あ」

数秒遅れで映し出される朝霧先生の姿。無事、とは言えない、攻撃を加えようとしていた右腕は肘から下が無くなってしまっている。そんな状態でも、あの嫌味ったらしい笑みを浮かべたまま。

「ねえねえ、轟包茎さん。自分の最大の技を紙一重で避けられちゃったけど、今どんな気持ち? 今どんな気持ち? 教えて轟包茎さん」

呑気に挑発していた。私の心配を返せ。

「ふふふ、聞きましたか? 『朝霧裕香、抹殺完了』らしいです。いや、恥ずかしいですね。私だったら、一生地下に引き篭もってニートになっているところですよ」

この人も相変わらず趣味が悪い。というか地下に引き篭もってニートとか、今の貴方そのものじゃないですか。
そんな事よりも、これはチャンスだ。アレだけの量の気を使って放たれた技、本当に仕留めるつもりで使用したのなら、今の轟に余力はほとんど残されていないだろう。既に朝霧先生の右腕は再生を開始している。

「ば、馬鹿な……一体どうやって。それにその身体っ」
「もう少し調べておくべきだったね! リア中(リアル中ボス)属性持ちの俺にとって、再生なんて容易いっ!」

そう言って轟の目の前に転移し、彼の左腕を蹴り得物であるトンファーを弾き飛ばす。動揺して反応出来なかった様だ。

「俺が、トンファーの真髄を見せてやんよ!」

弾き飛ばしたトンファーを拾い上げ、変な事を言い出す。どうしてこの人はこう、状況が好転すると調子に乗るんでしょうか。最初に攻撃を喰らい続けたのといい、変に挑発して殺されかかったのといい……今日、この戦闘だけで、何度命を失いそうになったのか忘れたんでしょうか。

「トンファー、それは不可能を可能にする奇跡の武具。その真の力を発揮した時の威力は、イチローのレーザービームにすら匹敵すると言われています」

茶々丸さんに変なスイッチが入ってしまった。何か大袈裟に言っている様ですが。
取り合えず、朝霧先生に視線を戻す。朝霧先生は、轟が行っていたのと同じ様にトンファーを回転させている。遠心力を加えるつもりなのでしょう。というか、トンファー使えたんですか、朝霧先生。
……余裕そうに振舞っている朝霧先生を見ても、やはり嫌な予感が消えない。むしろどんどん強くなっている様な気もする。杞憂だったのならいいんですが。
後方に下がり、助走を付けて疾走。腕を引いて腰を捻り、トンファーを横薙ぎに振る―――

「トンファーキック!」

―――わず、轟の腹部を蹴り付けた、らしい。らしいと言うのは、先に見た天地魔闘の構えの時と同様見えなかったからで、蹴りだと判断したのは朝霧先生がわざわざ技名を叫んでいたからだ。トンファーを使う必要性が全く感じられない。

「トンファー……瞬動!」

また瞬動で距離を取る。勿論、これにもトンファーを使う必要性は感じられない。

「まさかこの眼でトンファーの真の技を見る事が出来るとは……さすが朝霧先生」

朝霧先生も茶々丸さんも馬鹿でしょう? ねえ、馬鹿なんでしょう?
気を良くした朝霧先生は、勢い良く飛び上がり、先と同じくトンファーを回転させ腕を引き、腰を捻り、トンファーを―――

「超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐トンファーッッッ!」

―――投げた。今度はトンファー使ってますね。技名に凄くツッコミを入れたい気分ですが。
ああ、そうか。嫌な予感とはこの事だったんですね、今わかりました。

「あれは私の百八式トンファーより危険です! 皆さん伏せて下さい!」

はいはい、トンファートンファー。伏せろとか言われても凄く困りますよ茶々丸さん。あ、お嬢様もアキラさんも、伏せなくてもいいですよ。クウネルさんも伏せ……ああ、そういえばずっと逆さでしたね、伏せるとかそれ以前のお話でしたね。
先程のトンファー……キックとやらで、動きの取れなくなっている轟に投げつけられたトンファーは見事命中。当たっても尚、回転が止まらない。投げる時にまた裏技とかいうのを使って加速させたのでしょう。こうして見ると、結構凄いのに、それを使った本人がアレでは。ようやく回転が収まったと思えば、轟は気絶。

「我がトンファーに砕けぬもの無し」

貴方のトンファーじゃありません。それに砕けてもいません。

『いいから、気絶している内に早く拘束して下さい』
『あ、あれ? せったん何か不機嫌?』
『別に』

タイミング良く、転移で現れた縄で轟を縛り上げていく、どうやらクウネルさんが用意してくれていたらしい。それにしても縛り方が変じゃないですか? まあ、動けない様に拘束するのなら、複雑に縛り上げた方が良いとは思いますが。

『皆、これが亀甲縛りだよ!』

箪笥の角に小指をぶつければいいのに。

『お疲れ様でした裕香くん』
『あるぇー? 居たのアル(ry』

ええ、ずーっと逆さのまま居ましたよ、今もですが。

『実際の所、どうでしたか? 彼の実力は?』
『ふふん、この朝霧裕香にかかれば、余裕のよっちゃんでありましたよ!』
『本音は?』
『ぶっちゃけギリギリでした。裏技なかったら正直、今頃この世に居ない』

ですよねぇ。ついでに、何故断罪の剣を使わなかったのか聞いてみた所、『ここ二日程、調子が悪く、ぬこの剣を媒介にしても、消費される魔力がパなかったから』だそうです。変身が出来なかった事といい、この事といい、一体朝霧先生の身体に何が起きているんでしょう?

『なあなあ裕香? 結局うらわざーって何だったん?』
『ああ、それは―――』

本来、移動術であるはずの瞬動をあらゆる動作に転用したもの、らしい。天地魔闘の構えを使用した際に、轟の放った槍の様な鋭い突きは、展開されている障壁を左手に集め、瞬動術の要領(正確には虚空瞬動)で腕の振りを加速させて弾いたとか。轟が膝を着いたのは、気を右手に集束させ、同じく腕の振りを加速させて鳩尾を突いたためだとか。
あの回避不可能な攻撃を紙一重で避けられたのは、瞬動の重ね掛け。先に魔力にて瞬動を発動させ、続け様に気での瞬動を発動し通常の瞬動の倍以上の速度にて、効果範囲から抜け出したからだそうです。転移魔法の場合、事前に準備しておく必要があるので、あの場では使用する事が出来なく、かと言って普通の瞬動では速度が足りず、あのまま消されていた可能性があったために、咄嗟に使ったとかなんとか。入りも抜きも完璧とまで言われる程の、ある意味縮地レベルの瞬動だから可能であったとも、言っている。何げに努力してたんですね、朝霧先生。

『ちなみに、アキラの現段階の最終目標はコレ、えーと、多重瞬動を極める事でありますな』
『ふぇ……何か大変そう、でも頑張ってみようかな?』
『えー、ウチは?』
『このかはほら、馬鹿魔力あるから、そういうのいらないんじゃないかなー、つーか、気と魔力の総量に差がありすぎて、逆に使い辛い』
『がーん』

確かに、お嬢様には合わないかもしれませんね。私はどうなんでしょう? 気の扱いならば自身があるのですが、魔力となると……って、これってもしかしなくても、気と魔力のコントロールが相当上手くないと、とんでもない事になりそうですね。肩が脱臼したりとか、関節が外れたとか、確りと身体強化しておかないと、筋肉にも相当な負担が掛かりそうです。簡単な様で意外と難しく、奥が深い……気がします。

『茶々丸の場合は、タマとジョグレスした時に使用可、でありまする』
『ああ、これで私の戦闘能力が大幅に上がります。目指せマスター超え、です』

え、エヴァンジェリンさんを超えるつもりとか、貴女は本当に彼女の従者なのか、本気で心配になってきました。

『こちらは放送部です。これより学園内は停電となります。学園生徒の皆さんは、極力外出を控える様にしてくだ―――』

ノイズが入り放送が中断されてしまった。そういえば今日は学園都市で年に2回行われるメンテの日でしたね。このプレハブハウスも言わずもがな、部屋中の電気が一斉に消える。まあ、タマタマタマちゃんが映像を映し出してくれているおかげで、真っ暗という訳ではありませんが。

「ふふふ、暗い部屋に男性が一人、そして若くてぴちぴちなナウヤングギャルが四人。何と言うニートハーレム。これは間違いなく、裕香くんが嫉妬しますね」

いや、まあ、確かに状況的にはそうなのかもしれませんが、クウネルさんですし。というかいつまで逆さのまま居るなんでしょう。
―――ッ! これは……エヴァンジェリンさんの魔力?

『今回、エヴァがやる気になっているので、全力を出すらしいぞー』
『やっと、許しがでましたか!』
『封印がとけられました!』

またブロント語ですか。ちなみに、上から朝霧先生、クウネルさん、茶々丸さんとという順番です。
全力のエヴァンジェリンさんとネギ先生の決闘。ネギ先生には分が悪過ぎる、というレベルではありません。一応、役に立つのか立たないのかわからない助言(?)が、カモさん経由でネギ先生に伝わっているはずですし、咸卦法を身に付けた明日菜さんも助力するでしょうから、どこまで喰らい付く事が出来るのか……少し心配になって来ました。

『ところで裕香くん。身体、といいますか贋作の調子はどうですか?』
『ちょっと良くないかも、まさか変身が出来なくなるとは思わなかったし』
『ですよね。キャシーと戯れて居た時は普通にタマで過ごして居ましたし』

何故その場に私を連れて行ってくれなかったのかと。私だってたまにはキャシーと遊びたかったり……するんですよ? 聞けば、キャシーの頭の上で玉転がしの如く転がっていたら、勢い余って上に飛んでしまい、キャッチしようと口を開けたキャシーの中にすっぽりと入ってしまい、胃の中まで到達してしまったとか、30分ほどしてようやく出てきたタマの身体は消化寸前で、とても人には見せられない状態だったと言う。
って、クウネルさん。

『朝霧先生の身体の調子が悪いのを知っていたんですか?』
『ええ、まあ。彼に「何か身体の調子がおかしい」と相談されてしまいまして。ほら、最近妙にテンションが高かったりしてませんでしたか、彼』
『あー、何か、「俺……発情期かも……アキラも気を付けて!』とか、ハイテンションで言われちゃった』
『ウチもウチも、「このか、どうしよう! 俺も我慢出来ない!」って、タマにものっそい勢いでもふもふされてもうたわ。勿論もふもふし返したけどなぁ」
『私の場合はいつも通りでした、と言いたい所ですが、普段よりも多めにもふもふを……ああっもふもふっ!』

ハイテンションだったのと、朝霧先生の身体に起きた異変になんの関係があるんでしょうか?

『昨日辺りでしたでしょうか。裕香くんが、「俺、明日の仕事が終わったら……いや、なんでもない」と死亡フラグを立てているのを聞いていまして。何でも、近からず遠からず、位置は特定出来ませんが、何か裕香くん的にはあまり影響がよろしくない物の存在が、漠然とですが分かる様になったみたいなので』

影響がよろしくない『物』? 贋作に反応し、朝霧先生の能力を削ぐ様な物が存在すると言う事でしょうか? 

『今日なんて』

『このか、お前の父さん、反則的に強かったぜ! アキラ! アキラのおっぱいでするもふもふは至高の時間だったぜ! 茶々丸! いつまでもぬこを労わる優しさを忘れるな、あと愛してる! せったん! せったんとはもう一度、一対一でもふもふし合いたかったぜ! 良い友達を持ったな!』

『とギルガメッシュな死亡フラグ、といいますか、自爆フラグ立ててましたし』

どうしてわざわざ死亡フラグなんて立てるんだろう? 猫は死期が近づくと親しい人から離れていくとは聞いた事がありますが……まさか。

『朝霧先生……死んでしまうんですか?』
『それはないとは思いますが、なにぶん彼の身体の事は資料に載っていた事以外、わからない事ばかりでして』

クウネルさん曰く、朝霧先生の成長が止まっているのも止まった、というよりは止められてしまっている可能性がある、との事で。もし何らかの要因で止められてしまっているのなら、副作用的な何かが起こってもおかしくはないとか。せめてもう少し詳細な資料などがあれば対処出来るかもしれないらしい、とは言っても無い物ねだりになりますが。こうして、私が朝霧先生の身体についてアレコレ考えていたら。

『80…81…82…まだ増えるだとぉっ!? は、83、84、85……っ!?』
『どうかしたのですか、朝霧先生』
『茶々丸、今、麻帆良に猛スピードで近づいてくる奴の戦闘力を計っていた訳なんだが』

猛スピードで近づいてくる? 試しに朝霧先生の視点に重なるよう、水晶のボタンを押してみた。小さい点の様なものがこちらに近づいてくるのが見える。まさか援軍っ!?

『それで、戦闘力はどれ程の物なのですか?』
『最低でも……戦闘力86以上だ』

それは高いのでしょうか? と言いますか、それ本当に戦闘力の数値なんでしょうか?

『―――来た!』

朝霧先生の声に合わせて、皆近づいてくる物体に眼を向ける。アレは……柱でしょうか。柱の上に人が立っている様に見えます。って、どうして柱が飛んでいるのかと。
凄まじい速度で近づいて来たソレは、減速する事なく地面に付き刺さる。その衝撃で砂煙が舞い上がり、視界が塞がれよく見えない。かつて、ここまで大胆に乗り込んでくる人が居たでしょうか?
刹那、一陣の風が吹き荒れ、砂煙を消し飛ばしてしまった。視界が晴れ見えた物は、地面に付き刺さっている4mほどの長さの柱。そしてその上には、白を基調に様々な模様が描かれている着物を着、腰には西洋剣を思わせる、細身の剣。吹き荒ぶ風に流れる長い黒髪は、後ろで紅く長いリボンで纏められ、先端部分も一つ縛っている少し変わったポニーテール。
ふわっと、重力など感じさせぬ様な動きで柱から居り、ゆっくりと朝霧先生に近づいていく。その容姿には似つかわしくないと感じてしまう青く透きとおる様な瞳で、朝霧先生と、亀甲縛りで放置されている轟を交互に見ている。

『あ、朝霧先生』
『ああ、戦闘力88だ』
『ば、馬鹿な! あの小柄な体型で、88っ!? 朝霧先生のおっぱいスカウターの故障です、すぐに眼科に行きましょう!』

ああ、胸の事だったんですね、何となく納得。朝霧先生と比べても、同じ位かそれよりも若干低い、145前後と言った所でしょう。少しでも動けば揺れるその羨ま、胸に眼が言ってしまっているのは私だけではないだろう。

『むむむ、確かに普通ならば、あの身長にあのおっぱいのサイズはアンバランスなんだけど、それを感じさせない何かがある。というかあのおっぱいでもふもふして欲しい』

朝霧先生の欲望を念話で垂れ流すのはやめていただけませんかね?

「お、お、お嬢……」

あ、轟が眼を覚ましました。どうやら知り合い、というか上司の方? なのでしょうか。『お嬢』という事はどこかのお嬢様という可能性もありますが。
そんな轟の言葉に反応せず、朝霧先生が投擲に使用したトンファーを拾い上げ、首を傾げて何かを考えている様子。そして、何かを思いついたのか、朝霧先生の顔を見て二コリと微笑み、まるで親しい友人に話しかけるように、トンファーを持った左腕を振り上げ(ついでに激しく上下する羨ま、その大きい胸)。

「待っトンファー?」

そんな事をいいつつ、振り上げた時に生じた衝撃波が―――

「今来たドゴォォ!! ポッ」

返事を返した朝霧先生にではなく、身動きの出来ない轟を容赦なく襲った。
って、最後のポッてなんですかポッって。




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